治療後の再発防止や予後の確認、再発した場合でも早期発見に繋げるための長期観察のことです。
具体的には、定期的な尿細胞診、超音波(エコー検査)、膀胱鏡検査を行い、治療後の病気の状態と前回との変化を定期的に確認することを指します。
膀胱癌
膀胱癌
血尿が出たら要注意 早期発見こそ治療の要~膀胱癌の症状・検査・治療法について~
- 膀胱癌とは
腎臓でつくられた尿は腎盂(じんう)、尿管、膀胱、尿道を通って排出されます。これらの経路を総称して「尿路」といいます。この尿路は「尿路上皮」という粘膜で覆われており、この粘膜が癌化したものを「尿路上皮癌」と呼びます。癌が発生する場所によって、腎盂癌、尿管癌、膀胱癌などと名前が変わります。膀胱癌の中でも最も多いのは、尿路上皮癌です。癌はまず膀胱の内側に発生しますが、「多中心性発生」という特徴があり、1つの場所から広がるのではなく、複数の場所に同時に癌ができることもよくあります。膀胱癌は、膀胱の壁にどのくらい深く入り込んでいるかによって、早期の「筋層非浸潤性癌」と、進行した「筋層浸潤性癌」に分けられます。進行度によって治療法が異なるため、正確な深さを確認して治療法を選ぶことが重要です。
- 膀胱癌の症状など
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膀胱癌の主な自覚症状として、痛みを伴わない血尿が挙げられます。また、健診で潜血を指摘された方も要注意です。
特に、タバコは膀胱癌の大きなリスク因子です。喫煙者は非喫煙者に比べて、癌の発生率が2~4倍高くなると言われています。血尿は、膀胱癌に限らず、重大な病気が隠れていることがあります。一時的に止まることもありますが、「痛くもないし問題ないだろう」と思わずに、無症状であっても血尿の指摘を受けた際は、直ちに医療機関を受診してください。
- 検査について
- 尿細胞診
- 尿細胞診は、通常の尿検査で採取した尿の中にがん細胞が含まれていないかを顕微鏡で確認する検査です。検査結果によって、より詳しい検査をする場合があります。
- 超音波(エコー)検査
- 尿を溜めた状態の膀胱に超音波を当て、膀胱内の腫瘍および膀胱壁の異常の有無を確認します。エコー検査で発見した腫瘍等が癌であるかの断定はその場ではきませんが、身体への負担が少なく、診察当日にすぐに行える検査です。
- 膀胱鏡検査
- 尿道から膀胱へ細く長い内視鏡を入れて、膀胱内の腫瘍の有無や、位置や大きさ、形などをカメラで確認する検査です。当院では、尿道麻酔を使用して痛みを低減させて検査を行います。検査自体は、20分程度で終了いたしますが、膀胱癌の診断をする上で極めて重要な検査です。
- 治療について
- 経尿道的膀胱腫瘍切除術(TUR-BT)
膀胱癌の検査と治療を兼ねた、主流の内視鏡的切除術です。TUR-BTは下半身麻酔(脊椎麻酔・硬膜外麻酔)や全身麻酔で行います。尿道から内視鏡を挿入し、電気メスで腫瘍を切除します。また、切除した組織を顕微鏡で詳しく調べることで、がんの深さや性質を正確に診断することができます。手術時間は腫瘍の大きさや数、部位などによって異なりますが、1時間程度で終了することが一般的です。入院期間は、経過観察や検査のため1週間~2週間程度となります。退院後は定期的な外来診療で経過を観察します。
- 手術症例数(TUR-BT)
2023年 150件 2024年 151件
当院では、最新の内視鏡(VISERA ELITEⅢ CH-S700-XZ-EA/4K液晶モニター LMD-XH320ST)にて高精細4K画像を使用した検査及び手術を行っています。腫瘍の位置や大きさ、状態を従来より鮮明な画像・色彩で確認することができます。
従来のカメラ(左)に比べ、当院採用の最新のカメラ(右)の方がよりはっきりと「G」の文字を確認できます。
これにより、より詳細に癌の状態を確認することができます。
(画像提供:オリンパスマーケティング株式会社)実際の膀胱癌の写真
- 膀胱内注入療法
膀胱内注入療法は、通院で行う治療です。TUR-BT後に上皮内膀胱がんと診断された場合や、再発予防のために行います。患者さんの状態により、膀胱内に注入する薬を選択いたしますが、抗がん剤またはBCG(ウシ型弱毒結核菌)を注入します。薬液を注入後、膀胱内に薬を1時間ほど溜めた後に、排尿していただきます。副作用として、頻尿や排尿時の痛み、血尿が出ることがあります。
- 化学療法(抗がん剤点滴療法)
当院は、抗がん剤の点滴療法が適応となる場合、まず入院で治療を開始いたします。治療後の状態や検査結果から医師の判断で通院での治療に切り替えます。また、特殊な薬剤については患者さんの希望に応じて大学病院等を紹介いたします。
- 放射線療法
当院では、放射線療法を行っておりません。放射線療法が適応で、治療を希望される患者さんには専門医療機関をご紹介致します。
- その他の手術について
当院は、膀胱全摘や回腸導管手術、尿管皮膚瘻造設術など、泌尿器科で行うほぼすべての手術に対応しています。
手術が必要となった場合は、手術経験の豊富な医師が、できる限り患者さんの身体への負担が少ない適切な治療をご提案致します。
- 治療後のフォローアップ (長期間観察)
膀胱癌は、再発をしやすい癌で、10年以上の長期間観察(フォローアップ)が必要です。定期検査では3ヶ月~6ヶ月ごとに尿細胞診、超音波(エコー検査)、膀胱鏡検査を行います。これらの検査は、高山病院グループ全ての医療機関で対応しています。継続して検査を行うことで、小さな変化にもいち早く対応致します。再発時には、高山病院にて治療致します。
また、がん治療専門施設や大学病院で手術を行った後のフォローアップもご相談いただけます。手術を受けた施設と連携を図り、当院医師が責任を持ってフォローアップ致します。もし再発などがあった場合は、ご希望の医療機関と連携して治療致しますので、安心してご相談ください。
フォローアップ(長期観察)Q&A
はい、可能です。これまでの治療や経過を確認する必要がありますので、現在の担当医にご相談の上、紹介状(診療情報提供書)や検査結果などをお持ちになってご来院ください。
下記のご準備をいただくと診察や他医療機関との連携がスムーズになります。
- 紹介状 (診療情報提供書)
- 手術・治療に関する記録
- お薬手帳 (他科の処方も含む)
- 定期検査の結果 (直近数回分)
全てのグループクリニックでフォローアップに対応しており、各拠点で超音波検査(エコー検査)や内視鏡検査まで可能です。
ただし、TUR-BTなどの入院・手術を伴う検査は高山病院(本院)をご案内致します。
高山病院での検査が必要になった場合でも、グループ間で連携しておりますので、クリニックで本院の予約が可能です。
普段のご受診はご自宅の近くや通勤路など、患者さんの最も通いやすい場所をお選びいただけます。日曜・祝日に急患で受診が必要になった場合は、高山病院の夜間・休日外来で対応致します。
夜間・休日外来を希望する場合は、事前にお電話ください。必要に応じて他医療機関での検査や治療をご提案する場合もあります。膀胱癌に関しては受診から手術まで経験豊富な泌尿器科医師が在席しておりますので、フォローアップも含め一貫した経過管理ができますが、もしライフスタイルの変化などで当院に通うのがご負担になった場合は、お気軽にご相談ください。
はい、治療致します。高山病院で検査から手術、その後の経過観察までサポート致します。
ただし、放射線療法のような当院の設備で対応できない治療を希望される場合は、近隣の医療機関をご紹介致します。紹介状がなくても受診は可能です。
ただし、これまでの検査結果や治療の経過がわかった方が適切な治療ができますので、紹介状のご持参をおすすめしております。なお、紹介状なしの場合は当院にて各種検査を行いますので、お時間を長くいただく場合がございます。